R7.2 温泉による観光まちづくり

 露天風呂に入りながら、ライトアップされた庭園や満天の星空を仰ぎ、ゆったりとした時間を過ごすことは大変心地良く、特に粉雪が舞う冬場は最高の気分になれます。
 若い頃は一人旅で温泉巡りを楽しみました。働くようになってからも、家族や職場で、全国の温泉地によく出かけたものです。数ある温泉地の中で特に印象に残っている場所は、あちらこちらから湯けむりが立ち込め、温泉気分を存分に味わえる大分県別府八湯、日本最古といわれる温泉地で小説「坊ちゃん」の舞台となった愛媛県松山市の道後温泉本館、さらに湯畑と湯もみショーが楽しめる群馬県草津温泉などです。
 当初湯治場から始まった温泉地も高度経済成長による温泉ブームに乗り、多くの団体客を呼び込むため、ホテルは大規模化し、中小旅館では増改築が行われました。旅館内でのお風呂、豪華な料理の提供はもとより、お産品の買い物、レジャーや娯楽も全て館内で済むよう整備され、私も館内施設が充実した宿を選んだものでした。
しかし、バブル経済が崩壊した後は、団体客や冬場のスキー客が激減し、各地の温泉地は危機に瀕することになりました。
旅行スタイルも団体旅行から個人旅行に変わり、さらにこれまでの楽しみ方から、浴衣姿で街中に出て、そぞろ歩きがしたくなるような温泉地が求められるようになっています。そうした変化を先読みし、全国的に有名になったのが別府の奥座敷の由布院温泉や熊本県の黒川温泉です。
 観光事業者や商店街、農家、そして行政などが一体となって、日本の原風景が残る景観や街並みの保存や再生に取り組んだり、他の温泉旅館のお風呂に入れる入湯手形を発行したり、おしゃれで洗練されたカフェやレストランで地元食材を使った料理を提供するなどの取り組みを行った結果、今では日本を代表する温泉地として人気を集めています。
 「柴田町も温泉を掘って、観光まちづくりを進めたらどうか」とのご意見をいただいたことがありました。しかし、それはちょっと現実的ではないので、遠刈田温泉や青根温泉、鎌先温泉など近隣市町に点在する魅力ある温泉地と柴田の誇りである「桜」を連携した「桜と雪と温泉巡り」ですとか「桜とホッキめしと温泉巡り」などのツアーを商品化できればと思っています。
 新年早々あわただしい日々を過ごしてきましたので、ここは一時、日帰り温泉にでも入って、気分転換を図りたいと思っています。

 

R6.12 令和6年を振り返って

 今年は元日に能登半島地震が発生し、多難な一年のスタートとなってしまいました。その後も異常気象により、各地で猛暑や水害に見舞われ、特に奥能登では、地震からの復旧がままならない中で、続けざまに水害を被るなど、本当に心が痛みます。
私たちは依然として自然の脅威にさらされ続けていますが、一方ではAIなどのデジタル技術の活用によって、社会システムや生活スタイルが大きく変わり始めています。まさに、時代の大きなターニングポイントを迎えようとしている中、柴田町においても行政の課題と成果が顕在化し際立った一年でした。
 まず、問題となったのは、船岡放課後児童クラブにおける待機児童の発生や阿武隈急行(株)への赤字補填の問題です。加えて船岡城址公園のスロープカーが故障し車輌などの更新に緊急に対応しなければならなくなりました。こうした問題が起きても財源が潤沢にあれば何のこともなく対応できるのですが、町の財政は硬直化しており、財源の確保に頭を悩ますばかりです。
さらに、新図書館の基本計画の策定にも道筋をつけなければならず、目まぐるしい日々を送りながらも、何とか困難を乗り切ることができた一年でした。
 一方、明るい話題としては、11月に船岡城址公園「早春の丘」を舞台に、東京から70人余りのスタッフが来て、桜の植栽をメインとしたCM制作が行われました。初めて船岡城址公園に来たプロデューサーからは、「早春の丘からの眺望は、撮影にもってこい」と高い評価をいただくとともに、「できるならスロープカーの映像も是非撮りたかった」と残念がっていました。
また、12月1日には待ちに待った総合体育館が完成し、開館セレモニーでは、バドミントン元オリンピック日本代表の小椋久美子さんを招き、盛大に開催します。
 本当にこの一年間は自然災害、政治、経済、スポーツや事件・事故など重大ニュースに事欠かない激動の年となりました。
そうした荒波に翻弄されながらも、「苦あれば楽あり」と、何とか自分を鼓舞し、町民の皆様や議員各位の理解と協力を得ながら町政を前に進めることができたと思っています。
 来年は巳の年。成長と結実の年とも言われています。来年こそは、明るい話題が多くなることを期待して、年末のごあいさつといたします。

R6.11 文化の香るまちづくり

 文化の香るまちづくりが再び脚光を浴びるようになってきました。各自治体では、地元にゆかりのある有名人のミュージアムや歴史文化博物館の設置などを進めるとともに、子ども遊び場などを併設し、新たな賑わいづくりに取り組み若い家族の人気を博しています。
 その背景には、データやグラフとのにらめっこによる仕事疲れや、便利すぎてあじけない日々の生活があり、その反動として、人とのつながりや心の豊かさを求めた動きがあります。こうした新たな関心事や人の流れを素早く受け止めた自治体は、先取精神を発揮し積極的なまちづくりを展開しています。
 文化の香るまちづくりで印象に残っているのが、昔ながらの旅籠屋が並ぶ、島崎藤村の故郷である岐阜県の馬(ま)籠(ごめ)や長野県の妻(つま)篭(ご)の宿場町です。また、白壁の蔵屋敷やなまこ壁、川べりの柳並木がゆれる倉敷美観地区や葛飾北斎館の開館を機に豊かな自然と調和した景観づくりに取り組む小布施町も印象的です。江戸時代につくられ、今も生活の中に息づいているこれら歴史的な建物や街並みは地域古来の文化を象徴するものであり、日本が誇る文化遺産でもあります。
 近年では外国人が日本人以上に日本の伝統文化に興味を示すようになってきており、インバウンド客の増加につながっています。
将来の柴田町の発展を考えた場合、文化資源や地域の文化力を活用し、美しくおしゃれな街並みや文化の香りが漂うまちづくりを進めることは大変大事だと考えています。こうしたことから、現在検討を進めているしばたの郷土館リニューアルにおいても、郷土の歴史や文化を学び、体験し、発表できる「ギャラリーホール」や遊びを通じて人と人がつながる「屋内子ども遊び場」をふるさと文化伝承館に設置し、思源閣には、「伊達政宗騎馬像と小室達展示コーナー」を設置します。さらに、産業展示館に「カフェコーナー」を設置、日常的に気軽に集まり、交流したり、またゆったりと時間を過ごす、家庭でもない、職場でもない、居心地の良いサードプレイスをつくりたいと考えています。
 このエリアを文化の香るまちづくりの拠点と位置づけ、多様な人と人との出会いや交流から新たな地域文化を創造し、魅力ある柴田町を形成してまいります。

R6.10 新米の季節に思うこと

 新米がお店に出まわるようになってきました。新米は水分量が多く、つやがあり、香りも良いことから、多くの消費者が新米の販売を待ち望んでいました。
新米を炊き上げたご飯は、味噌汁とおしんこがあれば格別ですし、塩むすびにして食べれば新米のおいしさを十分に味わうことができます。特に体調を崩した時に食べたくなるのが梅干しの入った焼きみそおにぎりです。焼けたみその香ばしさが食欲をさそい、元気回復につながりました。
 おにぎりにまつわる話で有名なのが豊臣秀吉の「中国大返し」です。備中高松城(岡山県)を攻略中だった秀吉が織田信長の死を知るやいなや明智光秀を討つために、総勢2万5千人の大軍を山城国山崎(京都府)までの約200キロを7日で駆け抜け光秀を打ち破った話です。
 その「中国大返し」で兵糧となったのが、にぎり飯と味噌でした。にぎり飯と味噌を一緒に取ることでエネルギーを効率よく補給でき、足軽たちは腹一杯になるくらいにぎり飯を食べられたことで、戦いに意欲を燃やしたと伝えられています。
現代でも日本人の食生活の基本はご飯ですが、これからも安心して食べられるかというと様々な問題が起きています。
昨年の夏の猛暑で全国的に米の品質が低下し、23年産米は飯米に適した米の流通量が減りました。お店での品薄や、米の価格が高騰、米が買えないケースも散見されました。今後も異常な夏の猛暑が続くとなれば、そうした気候にも耐える品種の開発を急ぎ、安定供給に努める必要があります。
 さらに深刻なのは水田農業の担い手不足による、将来的な米生産への不安です。若者が米づくりに興味を持たないのは、収入が安定せず、また、農作業は重労働で、厳しい仕事であるとのイメージが強いためです。若者の農業離れを食い止めるには、若者が安心して米づくりができる環境を整えることが必要です。柴田町では現在6地区で、ほ場整備を実施・推進し、大型機械の導入による農作業の効率化や生産コストの低減、担い手への農地の集積を図っています。
 秀吉が「中国大返し」で、通常以上の高値で米代を払い農家のやる気を引き出したように、町としては農業の生産性の向上による経営の安定化や、デジタル社会の到来に合わせたスマート農業の推進などで、若者の水田農業への参入を促していきたいと考えています。

R6.9 敬老会のあり方

 9月は各地で敬老会の開催が予定されています。敬老会は、長年社会に貢献してきた高齢者を敬愛し、長寿をお祝いするものとして、さらに敬老意識を向上させることを目的に行われてきました。
すでに町内で開催された敬老会では地域の方々の舞踊やマジックショー、ゲーム大会などの出し物が盛りだくさんで、皆さん笑顔で楽しんでいました。
「コロナ禍で人と会う機会が少なかっただけに、久しぶりに近所の人たちと話ができて良かった」と開催を喜ぶ声が多く聞かれました。
年々地域での行事が少なくなる中、敬老会の開催は地域の絆を深める上で大切な行事です。しかし、コロナ禍を機に、全国的に敬老会のあり方を見直す動きが相次いでいます。
理由の一つに敬老会をお世話する人自体が高齢化し、負担が大きいこと、二つに対象となる高齢者が年々増加し、会場を確保することが困難になってきたことがあげられます。
その対応策として、各自治体では敬老会への招待者の対象年齢を引き上げたり、敬老会の開催を見直し記念品等を配る方式に切り替えたりするところもでてきました。効率化によって削減された分の経費は、介護予防や健康づくりに回すことにしていくそうです。
柴田町においては、現在全ての地区で敬老会が開催されており、その経費に対し町から対象の高齢者一人当たり2千円を地区に交付しています。
隣近所の付き合いが希薄化し、孤立する高齢者が増える中で、地区役員や民生委員、ボランティアなど多くの皆さんが敬老会の開催にかかわることで、地域でのつながりが深まりますし、また高齢者の実情を知る機会にもなると思っています。
現在、敬老会の開催については、廃止を含め、様々な意見が寄せられております。敬老会を開催の是非を検討していかなければならないというのも、時代の流れで仕方のないことなのかもしれません。改めて行政区の皆さんの意見を聞きながら敬老会のあり方を見直してまいります。
私としては、敬老会は地区住民同士の自主的な集いの場であり、支え合いの場づくりでもありますので、例えば子どもたちとのおしゃべりカフェの開催や昔の遊びの伝承など、新しいスタイルでの敬老会の開催も考えていただき、可能な限り継続して欲しいと願っています。

柴田町長 滝口 茂  

R6.8 夏休みでのキャンプ生活

 社会人男性が、夏休みにやってみたいことの一番人気はキャンプだそうです。スマホやパソコンの画面とのにらめっこの毎日や都会の喧騒から離れ、緑豊かな自然の中で家族や仲間とゆったりとした時間を過ごしたいというのが主な理由です。
私の思い出の中でも、学生時代に仲間と福島県の桧原湖畔や秋田県の田沢湖高原でキャンプをし、昼は登山や川遊び、夜は満天の星空の下でたき火を囲み、先輩のギターに合わせてフォークソングを歌ったことは今も忘れられません。
キャンプはとても楽しいものですが、一方で危険との隣り合わせでもあります。天候の急変で川が増水し中州に取り残されたり、川辺で足を滑らせておぼれたり、山道に迷って行方不明になる事故は後を絶ちません。また、最近では熊に襲われる事故も起きています。今の若い人たちは私の年代とは違って、小さな頃から自然と接する機会が少なく、自然現象や自然の脅威に対する知識や備えが十分ではないように思います。
キャンプを楽しく過ごすには、事前の準備として気象情報、動植物の生態や水の流れなどについてある程度の知識が必要ですし、また、テントの張り方、キャンプ用品の使い方や火の起こし方などのアウトドア活動の基礎技術を学んでおく必要もあります。このように、キャンプをするには一定の準備と手間がかかるので、最近ではホテル並みの豪華な施設に宿泊し、手ぶらで自然を快適に満喫できるグランピングがブームとなっており、全国各地で施設の整備が行われています。
これはこれで手軽にアウトドアが楽しめて良いのですが、やはりキャンプの醍醐味は自分で安全な場所を見つけてテントを張り、たき木を集めて火を起こし、ご飯を炊いて食べるといった非日常的な体験ができるところにあるのではないかと思います。時には雨や風など天候の急変で危険な目に遭ったりもしますが、困難を乗り越えるために家族や仲間が協力し合うことで絆がさらに深まったりもします。
キャンプは不便であり、危険を伴うこともありますが、便利さや快適さに慣れ親しんでいる私たちの日々の生活に、新鮮な刺激と活力をもたらしてくれるだけでなく、自然と共に生きることの心地良さを感じさせてもくれます。

柴田町長 滝口 茂  

R6.7 安定的な財源の確保 

 7月は柴田町の財政運営にとって最も気をもむ月です。理由は、地方交付税の令和6年度配分額が国から示されるからです。
近年、地方自治体では少子高齢化に伴う人口減少問題、デジタル化や公共施設の老朽化への対応などが喫緊の課題となっていますが、その対策に向けた財源の確保に苦しんでいます。
町の行政サービスは、町民の皆様や企業から預かる税金の範囲内で提供するのが理想です。しかし、町の税収だけでは町民の暮らしや企業活動などを支えたり、社会インフラを整備することができません。そのため、全国一律に提供しなければならない行政サービスを提供する際に不足する財源は、国からの地方交付税で補われているのが、多くの地方自治体の財政状況なのです。
柴田町の令和6年度当初予算(約140億円)で一番予算配分が大きかったのが子育て支援、高齢者や障害者の医療、介護、福祉などの社会保障経費で、約48億円と当初予算の34.4%に当たります。ちなみにお金をかけすぎているのではとの誤解が多い観光整備費は、太陽の村や観光物産交流館の指定管理料を含めて、全体の0.4%にあたる約5,000万円にすぎません。この投資額で柴田町の魅力を高め、観光客の誘客やふるさと納税の確保につなげています。
町の財政を良く知らない人の中には、「お金がないなら、国から補助金を多く持って来るのが首長や政治家の仕事だ」という人もいますが、地方交付税は配分ルールが厳格で、陳情や要望活動でどうにかなるものではありません。一方、補助金は陳情や政治活動が功を奏する場合があります。問題なのは、補助率が50%の補助金の場合、残りの50%は町が自前のお金(自主財源)を用意しなければならないことです。しかし、その自主税源も社会保障経費などの増加で、年々確保が難しくなってきているため、簡単に補助金を活用できなくなっています。
柴田町に限らず、地方自治体の財政は硬直化が進むばかりです。住民のために最低限保障しなければならない行政サービスについては、地方交付税による補てんを十分に行ってもらわなければ、この先地方の財政運営はますます困難になってきます。地方交付税の配分に一喜一憂しなくてもすむような安定的な地方財源の確保を国に求めていきたいと思います。

柴田町長 滝口 茂  

R6.6 災害への備え

 能登半島地震が発生して5カ月が過ぎました。被災地では、未だ生活再建や事業の再開に希望を見出せていない方々も多く、復旧復興の遅れを歯がゆく思っています。
 今回の能登半島地震と東日本大震災とでは異なる点が多々ありました。東日本大震災では津波被害が甚大でしたが、能登半島地震では主に地震の揺れそのものによる被害が大きかったということです。家屋や電柱などの倒壊、地盤の隆起、液状化や土砂崩れによる道路、水道などのライフラインの寸断によって、町の姿が大きく変わってしまいました。がれきの山や道路の損壊で、救助活動や消火活動などの初動対応は困難を極めました。高齢者のみの世帯が多いことや経済的な面から地震対策の基本である家屋の耐震化が、遅々として進んでいなかったことも被害を大きくした要因の一つでした。
 今後、柴田町もこうした町が壊滅した場合も想定し、対策を講じていかなければならないと肝に銘じたところです。
 今回の地震対応で印象に残ったのがNHKアナウンサーの冷静ながら鬼気迫る避難の呼びかけや、自衛隊はもとより、全国各自治体からの応援、災害派遣医療チーム(DMAT(ディーマット))、国土交通省緊急災害対策派遣隊(TEC(テック)‐FORCE(フォース))などの派遣が行われたことです。
 一方で、被災地の能登町や志賀町に派遣した職員からの報告では「避難所での水や食事の提供、清潔なトイレやプライバシーの確保においては、東日本大震災の教訓があまり生かされているようには見えなかった」とのことでした。それに比べ4月3日に発生した台湾東部沖での地震では、行政と民間の連携による危険な家屋やビルの迅速な撤去、また、避難所での屋内テントの設置によるプライバシーの確保やバランスの良い食事の提供など、災害対応が高く評価されました。改めて、過去の災害での教訓を生かした台湾と我国とでは、いざという時の災害対応力に雲泥の差があることを痛感したところです。
 わずか2分間の地震で、住まいやなりわいを失い途方に暮れている人たちが、今後の生活資金や事業再建資金を心配することなく、一日も早く日常の生活を取り戻せるよう、国はこれまで以上に、被災者に寄り添った支援策をさらに強化すべきだと思います。

柴田町長 滝口 茂   

R6.5 深刻化するエッセンシャルワーカー不足

 先日利用したタクシードライバーの話です。「定年退職後、嘱託で働いているが、新人が入ってこないのでシフトが組めず、夜も運転しなければならない。」と嘆いていました。
 少子高齢化の影響で、タクシー業界だけでなく、バスやトラックなどの運輸業のほか、建設、医療、介護、ホテル、小売など、人手不足はあらゆる分野に及んでいます。企業の中には、経営は順調なのに人手不足から事業を諦めたり、店を閉めるところも出てきました。
 我国はこれまで、人手不足の問題を外国人労働者を受け入れることでカバーしようとしてきましが、近年では、文化や生活習慣が異なる外国人居住者が増えることで、地域でのトラブルも目立つようになっています。
 人手不足の解決手段として今注目されているのが、AIやロボットを活用した業務の自動化、省力化です。セルフレジはもう当たり前ですし、料理をタッチパネルで注文し、配膳はロボットが行う飲食店も増えてきました。
 地方においても人手不足は深刻です。日常生活を支えてきたエッセンシャルワーカーの保育士、介護士や看護師、さらにバス・タクシーやトラックなどのドライバー不足、そして、地域のエッセンシャルワーカーとも言える消防団員、民生委員や児童委員、地区役員のなり手不足もあり、地域の安全安心で豊かな暮らしが脅かされるかもしれないという懸念が生じてきています。
 人手不足に対し各業界では、介護ロボットや自動運転技術などの導入による省力化を試みていますが、まだまだ完全に人に代わるには至っていません。また、人と人との関わりで成り立っている子育てや介護サービスの提供は、やはり人手がなければ十分に対応できません。
 こうした地域での人手不足問題を解決していくためには、まずはエッセンシャルワーカーの待遇や職場環境を改善し、余裕と誇りを持って働けるようにすることが先決です。また、安心を維持するためには、有償ボランティア制度の導入を検討する時期にきもています。
 当然、こうした取り組みは一つの自治体でできるものではありませんので、国も経済分野での人手不足対策だけでなく、地域のエッセンシャルワーカー不足対策にも、本腰を入れるべきだと思っています。
 
柴田町長 滝口 茂